お口の中にはたくさんの微生物が存在しています。
その微生物たちがうまくバランスを保ってくれている事で、私たちの健康(健口)は成り立っているのです。
人間には病気やリスクに対しての防御因子が存在します。
その防御因子の特性を皆さんはご存知でしょうか?
今回は防御因子の一つについてご紹介致します。
『防御因子』とは、[病気に向かうよりも、健康に向かうことに関わる因子]と定義づけられています。
例えば、健康的な食事や適切な運動は心疾患に対しての『防御因子』となり、このような防御因子を利用した食事療法や運動療法がすでに利用されています。
歯科においても、防御因子を利用した療法は多数存在し、現在の口腔環境のアンバランスの修正だけでなく、将来的な口腔環境のアンバランスの予防にも繋がリます。
歯を健全な状態に保つためにもっとも重要な因子のひとつは、pHです。
そもそもpHとは、物質の酸性またはアルカリ性の度合いを示す数値です。
pHが低くなるほど、物質はより酸性になります。
pHが高くなるほど、物質はよりアルカリ性になります。
pHの尺度は1〜14まであり、1がもっとも酸性で、14がもっともアルカリ性です。
また、7は中性を意味し、水(H2O)は通常、中性です。
歯科領域ではpH5.5の値が重要です。
なぜかと言いますと、pH5.5以下の口腔環境では、歯の脱灰が始まることがわかっています。
一方、pHが5.5以上に回復することによって、歯の再石灰化が誘導されます。
多くの口腔内微生物は、増殖のために、ほぼ中性の環境を好み、酸性やアルカリ性への急激な変化に敏感です。
プラーク中の正常な細菌叢に生息する細菌(特に酸非産生菌群)は、短時間の軽度な酸性環境下なら耐えることは出来ますが、長時間または頻回に酸性環境に曝された場合、増殖が著しく阻害されたり、死滅したりします。したがって、口腔内のpHが急激に低下したり、低pHの状態が長時間続くと、酸産生菌や耐酸性菌(う蝕病原性細菌)の定着と増殖が誘導されうる事となるのです。
口腔環境のpHの安定を図る事がひいては予防に繋がります。
皆様もよかったら参考にしてくださいね。